セレクトショップUMEYAの梅田です。

長い間お店をやっていると、
その歴史の中で感じる事があります。

 

【洋服は家庭で縫うのが当たり前】

 

こう書くと驚く方もいらっしゃいますか?
昭和30年代(1960年前後)までの話です。
今となっては昔話ですね(^^;

 

 

当時は生地を小売りするお店とか
ボタンなどの装飾品を売るお店が一般的。

既製服がお店で売られるようになるのは
その後です。
そう思うと、意外と歴史が浅い???

日常の洋服は「家庭で縫う」から
「お店で買う」時代になります。
そして、洋服に対する価値観は
今とは全く違うものでした。

 

 

「洋裁が出来る」=既製服の価値を
「縫製レベルから感じられる」ので

・この縫い方は難しい

・この裁断は手間が掛かる

・ここに装飾を施すのはひと手間掛かる

・このボタンは高価だ

・こんな生地はどこにも売っていない

などが価値基準の一つになります。

そんな感覚、ありますか?
スミマセンが、僕にはありません(笑)

ここまでは、自分自身がご年配のお客様から
色々と聞いて教えて頂いて
「あ~そうなのかぁ」と知った事です。

 

 

その後、既製服が辿った歴史は
Google先生にお任せするとして、自分も含め
今の50歳代以下の多くの人が
洋服一枚をまともに縫った事が無い時代に。

 

自分自身も、
昔に家庭科の授業でスモックを一着縫った?
ナップサックだった?

そんなレベル。

この仕事をしていなかったら、死ぬまで
針と糸を持つことはなかったかもしれない。

だから、多くの人は
洋服がどうやって出来ているのか知らない。

 

これ、馬鹿にして言っているのではないです。
今はこれが当たり前です。

 

どこかで書いたかもしれませんが
学生時代、超有名私立大学の同級生が、
キャベツは木になってぶら下がっている物…
と本気で思っていました(笑) 

でも、見たことが無い(やったことが無い)
ってそういう事なんだと思います。

スーパーで売っている野菜や果物、
全てどうやって育てるか、花は何色か、
言える人いますか? …ね?(^^;

 

 

・現代の洋服の価値観って

あるお店ではTシャツが1,900円で売っていて
別のお店では似たようなTシャツが
9,000円で売っている。

これって何???

わざわざ高い服って誰が買うの?
ってなりますよね。
とくに有名なブランドでもない商品なら
なおのこと…

 

安いのが当たり前。

今の多くの人が持つ
洋服の価値観だと思っています。

それを強く感じたこんな事例もあります。
店頭サービスの一環「お直し」について
書いているブログ記事が幾つかあります。

 

お直し生地一覧

 

それについてのお問い合わせも、
コメントやメールで沢山いただいています。

※ありがとうございます(^^)
 嬉しいです☆彡

 

 

例えば…

「ポケットを付ける」という作業については
1,500~2,000円の工賃実費を頂戴しています。

「お袖の丈直し」については
袖口1,000円~、肩で直す場合は3,000円~

などです。

 

これ、お直しの相場か少し安い位です。

 

 

でも、
「2,000円位で買ったパンツにそんな高い
ポケットは付けられない。」とか、

「1,000円のTシャツの袖を直すのって
そんなに高いのですか?」という
お返事をいただく事もあります。

 

そこについては「ごもっとも」だと思います。

 

「ごもっとも」と同時に、
洋服の作り方が分からないから
紙細工のように簡単に切って貼って出来ると。
そして、洋服自体が安いのだから、
お直しなんて簡単でもっと安価に出来る
と思う方がとても多いんだな…
と気付かされるところでもあります。

 

これも馬鹿にしていません。
むしろ、そういう方が
一般的だと思います。

 

 

別の所でも書きましたが、
なぜ安い服と高い服があるのか。
それは、素材や縫製の違いとか
海外生産で人件費が安い
…などの見方がありますが、
それらも含めて一言で言うと、

大量に作るから安く、

少量しか作らないから高い

です。

1,900円のTシャツは
同じ物が少なくとも400枚以上

9,000円のTシャツは50枚~
多くて100枚程度

大体こんな計算でしょう。
洋服は工業製品ですから
自動車や電化製品と理屈は同じです。

一部の生産背景については世界的にも
様々な問題となっていますが、
とにもかくにも洋服は大量かつ安価に作られ、
多店舗やECモールで一斉に売るのが一般的
となった今の世の中で、僕たちの様な個店が
少量の高価な洋服を売っていくのは
本当に時代遅れなのかな…

と悩み、堕ちかけたこともあります。

 

…悩みどころが少し違いますが(笑)

 

 

・これからの洋服屋(個店)
 「僕なりの考え」

 

大量生産で安価だけが正解なのか。
僕はそうは思っていません。
(立派に立ち直っていますw)

 

下の図で黄色い帯が世の中の大半の人。
つまり「世間一般」と言われるゾーン。

 

 

いわゆるマスマーケットってやつです。
ここへ向けて大量生産を掛けるのが
セオリーでしょう。

 

100万人の需要がある所に
8割の人が好むものがあれば
大量に作ろうと思います。

 

じゃぁ、緑や赤、ピンク印の人たちは???
絶対に何か困る事がありますよね。

もしくは我慢して
帯の中に納まろうと頑張っている。

 

 

大量生産は一つの正解だと思っています。
そういうビジネスの方が華もあります。

 

でも、少数の方が抱えている問題を解決する
その為の少量ビジネスも
正解じゃないでしょうか。

・・・とてつもなく地味ですが(笑)

 

下の図で言うと、
ピンクの丸を狙っていく感じですかね。

 

 

本当ならグラフ左上の端を狙う所ですが、
僕は根性無しなので中途半端な位置で(笑)

重要なのは、グラフの縦軸と横軸に

何を置くかです。

まぁ、これを書き出すと明後日が来るので
止めておきましょう。

 

 

例えばですが、
900円以下のTシャツが存在する中で、
自分の満足が叶えられるなら
10,000円のTシャツを僕は買います。

更に満足できるなら15,000円だっていい。
でも、20,000円のTシャツは買わない。

そんな価値観。

 

 

最近は製造や企画、デザイナーの方々と
お話しする機会も増え、
「やっぱり洋服って楽しいよな!!」
と日に日にその想いが増しています。

 

洋服の価値観は時代と共に
どんどん変わっています。
これから先はどうなっていくか。

それは分かりませんが、
「大量生産によって生まれる価値」
その外側にあるものを、
まずはこれからも自分が勉強しつつ、
同じ想いや悩みを抱える皆さんと
共有していく。

 

今の時代、そうそう「世の中に無い物」って
無いと思います。
特にお洋服は星の数ほどありますからね。
…本当に(^^;

 

その中から悩みや問題を抱える方々に
最適な物を探し、ご提案する。
時には作る。
(正確には作って頂くm(_ _)m)

 

そんな仕事をしていきたい。
一人の「一般から外れた」者として(笑)

 

値段も大切ですが、
価格だけでない所に「洋服の価値」は
あると思っています☆彡

 

旅の途中ってやつです。

 

 

あとは、こんな考えの奴が運営している
お店があるってことを
知ってもらわないとですね。
それがまた難しい(^^;

 

じっとしていたら砂漠の中の一粒の砂
で終わってしまいます。

 

そんなわけで、少しだけ告知。
ここまで偉そうに書いていながら

実際にはブレまくりで
インスタに商品UPなどしています。
よかったらご覧ください☆彡

 

 

 

men’sはご存知のコチラ
↓↓↓

 

 

宜しければ、このデカブツが
この先どこへ転がっていくのか
密かに見守ってやってください(笑)