姫路の婦人服専門店UMEYA、歩く灯台のウメセンこと専務の梅田です。

洋服屋なのに着る服に困り果てている、大きいサイズなアラフォー男です。

 

先日、岐阜県の山奥まで行ってまいりました。

自分自身も相生の山奥に田舎があり、

何だかとっても懐かしさが込み上げてくる、そんな風景。

 

 

 

もう街中では見る事が出来ない、こんなお店も♪

 

 

おもちゃ、お菓子、文房具、生活用品…

なんだかワクワクしますね(^^

 

 

 

さて、向かった理由はといいますと、自分の原風景を満喫する事ではありません(笑)

この機械を見る事にありました。

 

 

明治9年に開発され、明治時代中期を全盛に、昭和の戦後まで活躍した紡績機

通称:ガラ紡(ガラガラ紡績)です。

機械の歴史を詳しく知りたい方は、google先生までお願い致します(丸投げ)

 

紡績機とは糸を紡ぐ機械の事で、綿の木から採れるワタをクルクルと巻いて

一本の糸にまで仕上げるのがこの機械の仕事です。

 

 

せっかくなので、綿(ワタ)が糸になるまでをご紹介したいと思います(^^

 

 

 

綿が糸になるまで

 

これが綿の実です。種の周りのフワフワの繊維を「綿(ワタ)」と呼んでいます。

 

 

 

 

これが採取されて種を取り除いた状態。綿糸の原料となるものです。

原料には拘り、手間暇かけて有機栽培されたオーガニックコットン♪

 

 

この繊維を糸に仕上げるためには先ず、繊維をほぐして柔らかくしていきます。

「ふぐい機」と呼ばれる、カバーの中で幾つもの棒状のプロペラが回転する

機械の中へ、先ほどの原料を送り込みます。

 

 

 

綿を送り込むベルトコンベアーな部分に注目してください!!

竹細工です(驚)

歴史を感じますね~!ワクワクしますね~!(笑)

 

そして、ふんわりと解された綿は、次の機械へと送り込まれます。

 

 

今度は打綿機という、綿を板状に整える機械です。

かなり大型…。 ですが、現代の機械はさらに巨大なものもあるんです!

写真で言う所の、奥の上にあるタンク部分に先ほど解された綿が溜まって行き、

その後は機械の中を「つ」の字を左右逆にした様な流れで綿が流れていきます。

 

先ずは入り口の写真

 

そして、ぐるっと回ってこのような感じに出てきます。

 

 

これをこし取り、フワフワ綿の塊を作っていきます。

ちなみに、ここまでの行程は綿布団と同じだそうです。

 

 

こんな感じで沢山出来上がっていきます♪

さて。あとはこのフワフワ綿を糸に仕上げるだけです。

綿を糸にするためには…

 

 

こんな風にクルクルと「より」を掛けながら引き伸ばしていくのです。

…が、ここまでの作業ももちろんですが、

更にこれを手作業でこれをやろうと思うと気が遠くなりますよね(^^;;;

でも、昔の人はやっていたんです! すごい!!

 

で、登場するのが先ほどご紹介した【ガラ紡】です。

 

 

まず、この機械の中段下あたりの筒に綿を詰めます。

 

 

そして、よりを掛けた糸を一本、上のローラーの部分に掛けてやります。

 

 

後はスイッチオン!で動き始めます。

ごちゃごちゃ書いても分かり難いので、百聞は一見に如かず。

とりあえずガラ紡が動く映像をご覧ください(^^

 

ガラ紡の動く姿(動画)と簡単解説

 

という感じです♪

ちなみに、この機械が開発された当時、その動力源は「水車」でした。

 

 

以下、超簡潔にこのガラ紡で糸が出来上がる仕組みを書いておきます。

 

綿を入れた筒がクルクル回ったり止まったりしていますよね。

回り続けていると同じところに「より」が掛かり、部分的に糸がドンドン太くなります。

よりが強く掛かると、綿と一緒に筒も持ち上がり、筒が歯車から外れて回転がストップ。

 

 

よりが掛からないでいると、最下段についている錘の作用で筒と共に糸が引っ張られ、

ゆっくりと伸びます。

 

 

するとまた筒がストンと落ちて歯車と噛み合い、回り始める。

それを繰り返しながら、出来るだけ一定の太さを保ちつつ糸になっていくという

そんな仕組みなのです。錘の重さや距離で糸の太さは調節されます。

 

繊維を糸にするための「引っ張る」と「よりを掛ける」を自動化した

最も原始的な機械。それがガラ紡。

 

いやぁ~。すごい!

発明した人(臥雲辰致)、天才過ぎる!!

 

一般的な機械と同じく、ガラ紡もマイナーチェンジが繰り返されてきたとみられ、

現存するこの機体は後期モデルなのだそうです。

今では現存する同機はほんの数台。そのうち2機は博物館入りしています。

そんな機械を現役で稼働させているなんて、本当に頭が下がります。

 

 

合糸と撚糸で「糸」は完成する

 

あ。

ちなみに、ここまでの作業で出来た糸では、布地や編み物には使えません。

繊維からできた一本の糸では弱すぎます。

いわゆる引っ張り強度が出ません。

そこで、紡いだ糸を2本、3本…と合わせていく

合糸(ごうし)という作業を行います。

その為の機械がコレです。

 

 

 

写真は3本の糸を一本にしているの図。機械は自動で動きます。

そして、繊維を糸にする時と同様に、

合わせた糸にもう一度しっかりと「より」を掛ける撚糸(ねんし)という作業を経て

やっと布や編み物に使える糸が出来上がります。

 

撚糸の為の機械がコレです。

 

 

身の回りにある物の糸って、正確には「1本」じゃないんですよ。

知ってました?(^^

手近に手芸用の糸でもあれば指先で右か左にクルクルとやってみてください。

こんなのになるでしょ?

 

 

 

 

なざ今わざわざレトロな機械なのか?

 

今回見学した機械はどれもこれもレトロなものです。

基本的な部分は現代の繊維業でも共通していて、大きな差はありません。

違いと言えば、機械の精度やコンピューター制御などという現代技術で、

より均一で、より用途に適した太さ、細さ、強度の糸が出来るという事。

 

 

 

では、なんでわざわざそんな手間暇かけて、古い機械で糸を紡ぐ必要があるの?

と思いますよね。では、この画像を見てください。

 

 

不均一ではありますが、何処かに温かみを感じませんか?

この風合いを生む不均一性は、逆に現代の最新技術では再現が出来ないと思います。

現代人として、今そこに改めて価値を感じる。そんな気持ちなのです。

 

 

さて、今回は【ガラ紡】という明治時代に大活躍した紡績機のご紹介でした。

 

この話の続きがあるのかないのか。

興味のある方はお楽しみに(^^

 

今回はこれにて♪